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総合建設業 蜂谷工業株式会社 HACHIYA Construction Co.,Ltd.

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百間川一の荒手改築現場レポート

西日本豪雨にも負けなかった復元中の「一の荒手」
2018.7.23 mon.@百間川一の荒手改築

7月5日から8日にかけて西日本を襲った記録的な豪雨は、岡山県内をはじめ西日本各地に甚大な被害をもたらしました。
 岡山県の中心部を流れる旭川とその流れを調節するため江戸時代に造られた百間川も、例外ではありませんでした。
 「5日(金曜日)に降り始めた雨を見ながら、止んでくれればいいのになあ」と、その日は百閒川一の荒手の工事現場に泊まり込んだ監理技術者の塩津賢祐所長。7月末の工期終了を控え、この日はまさに実質的な工事終了となる予定の日でした。

              完成直前の一の荒手改修の現場

「この工事の一番のヤマである巻石(亀の甲)の復元も6月末には終え、工事全体の99%は完了していました。そこへ今回の豪雨でした」
 復元工事は、江戸時代に造られた越流堤を改修、復元するために、全長約180メートルの堤をいったん解体し、基礎部分を固め、もとあった堤のように再度石を積み上げるという作業。このまま増水すれば完成目前の歴史的な越流堤にも影響がでるかもしれない。眠れないまま朝を迎え、降り続く雨を恨めしく思いながら、どんどん水かさを増していく旭川の濁流に不安がよぎったといいます。

                 激しい雨で水位が急上昇

「6日(土曜日)には水位が上がり、きれいに整備した百間川の一の荒手側にも流入するようになり、堰堤も隠れてしまいました。さらにその上にあるこの堤防のあと1メートルというところまできていました」

               百閒川の一の荒手へも濁流が

この日も現場事務所に泊まり込み、万が一に備えます。この日(6日)の夜、旭川流域をはじめ全県で緊急避難指示が出され、高梁川流域の小田川の決壊で倉敷市真備町や総社市、砂川の決壊で岡山市東区平島地区など、県内全域でこれまで経験したことがないような大きな被害が発生しました。
 完成目前の一の荒手はどうなっているのだろうか――濁流が収まり水位が下がって、塩津所長の目の前に現れた現のは、復元したままの石積みそのままの姿でした。ただ、復元部分とは別の個所が一部損壊していました。

     「ここまで水位は上昇しました」と指さす塩津所長

「補修の工事に入りたいのですが、工事車両の進入路に水が入ってきて通行不能になっています。まず、上流の決壊した堰堤の補修(この工事は別の業者が担当)を行い、進入路を整備してから補修と最終的な仕上げに入ろうと計画しています。大丈夫とは思っていましたが、ダメージは想定していたほどではありません。ただ、復元工事が終了していたので、良かったのだと思います。石積みの職人さんも、工事途中だったら、積んだ石はバラバラに崩れていただろうと言っていましたから」
 一の荒手は、旭川の増水から岡山のまちを守るために造られた堤。今回の豪雨による増水でも、一の荒手から百間川へ水量を分散させることで旭川の決壊を防ぎ、下流の市街地を洪水から守ったことになったといわれています。

      豪雨後も復元されたままの美しい姿を見せた巻石

この豪雨のため、改築工事の工期は1カ月延長になりましたが、思わぬかたちで江戸時代の巻き石の堅牢さと自分たちが手がけた工事の意義と役割を知ることになりました。
 「雨もいやですけれど、35度Cを超すこの連日の暑さも困りますね。進入路が改修できれば、来週からは工事を再開できると思います」塩津所長の日焼けした顔が少しほころんだ。(2018年7月18日取材)